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保育園や幼稚園に預けるときに子どもが泣いてママから離れようとしない。
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習い事の教室で子どもがママから離れられない。
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母子分離がうまくできないのは愛情不足だから?と不安になる。
↑このように、母子分離がうまくできなくて不安になることってありますよね。
特に子どもが3歳の場合、多くの子が幼稚園に通い始めたり、習い事を始めたりするタイミングですので、初めての母子分離に戸惑う子どもと その子どもの反応に戸惑うママさんは結構多いのではないでしょうか?
よその子が泣かずにママとバイバイできているのを見ると「どうしてウチの子は同じようにできないのかしら?」と心配になったり、「母子分離ができない=愛情不足」などという育児サイトの情報を目にしてしまって、自分の子どもへの接し方に自信がなくなってしまうというママさんもいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、私も息子がなかなか母子分離できないタイプなので、上記のように悩んでいらっしゃる方の気持ちはよく分かります。
そこで今回の記事では、そんな不安を解消するために 次のことをお伝えします。
- いつもスムーズにママから離れられる子どもはじつは30%もいない。
- ときどき又は後から少しずつ母子分離できるようになる子どもの方が愛情をしっかりと受け取っている。
- 母子分離ができるかどうかは「子どもにどれだけ愛情が伝わっているか」だけでなく「子どもの性格(気質)」にも大きく影響される。
つまり、今の時点で母子分離ができなくても 愛情が足りていないとは限らないのです。
子どもの性格(気質)に合わせた対処法をとることが、母子分離を成功させるカギということです。
それでは、詳しくご説明していきたいと思います。
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2~3歳でいつもスムーズにママから離れられる子どもは3割もいない
わが子がママから離れられないでいると、「なんだか よその子はみんな母子分離ができているのに、うちの子だけができていないのでは?」という気がしてきますが、それは気のせいです。
ある研究論文『愛着と気質が母子分離に及ぼす影響―2,3歳児集団の継続的観察による検討―』によると、1年間、毎週1回開催された親子教室に参加していた101名の2~3歳児のうち、1年間継続して毎回 母子分離ができていた 子どもは 29名(28.7%)でした。
また、最初は母子分離ができなかったけれども、次第に母子分離ができるようになった子どもは 26名(25.7%)、1年間を通じて母子分離できる日もあれば、できない日もあるというような一貫した傾向がなかった子どもは 29名(28.7%)、1年間通してずっと母子分離が難しかった子どもは 17名(16.8%)でした。
ちなみに、4つの母子分離パターンについて、子どもの月齢による差は認められませんでした。また、性別による違いも認められませんでした。
ところで、乳幼児の精神発達に関する『マーラーの分離個体化理論』によると、
生後2、3年の間に、自他の分化期(5~10ヵ月)、母から離れる練習期(9~15ヵ月)、分離不安が生じて母へ接近する再接近期(15~30ヵ月)と進み、最後に対象恒常性が成立し母子分離できる達成期(30ヵ月以降)
<『愛着と気質が母子分離に及ぼす影響―2,3歳児集団の継続的観察による検討―』より引用>
と言われていますが、上記の論文の研究対象となった子どもは いずれも30ヵ月以上でありながら、1年間いつも母子分離ができたのは全体の28.7%に過ぎませんでした。
論文中では、単純に「ママと離れる」というストレスだけでなく、おもちゃの取り合いなどの他の子どもとの関わりのなかで感じるストレスが大きいために、ママの元へ戻ったり、あるいはママから離れられない子が多くなったのでは?と考察されています。
あなたのお子さんはどのタイプに当てはまりますか?
いずれのタイプでも「うちの子だけ」というわけではないようです。
このように実際のデータを見てみると少し安心できますよね。
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2~3歳でいつも母子分離できる子どもといつも母子分離できない子どもは愛情不足
さらに上記の論文では、それぞれの母子分離タイプの子ども達の愛着安定性(ママへの愛情や信頼など、親子の絆の強さ)を測定し、比較しています。
すると、いつも母子分離できた子どもと 全く母子分離できなかった子どもは愛着が弱く、次第に母子分離できるようになった子どもと 日によって母子分離できた子どもは愛着が強いことが明らかになりました。
※標準偏差は左からそれぞれ0.48、0.36、0.44、0.47。
全く母子分離できなかった子どもだけでなく、いつも母子分離ができる子ども も愛着が弱いなんて、ちょっと意外な結果ですね。
それでは、同じようにママへの愛着が弱い子どもなのに、母子分離できるグループと できないグループに分かれる理由は何なのでしょうか?
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2~3歳で母子分離できるかどうかは子どもの性格にもよる
論文中では、母子分離ができる/できない は子どもの気質(性格)によっても影響されるものではないかと考え、それぞれの母子分離パターンの子ども達の気質についても調べています。
※図は平均値のみを記載しており、標準偏差は省略しています。
4つの母子分離パターンの気質を重ねて比較してみると…
いつも母子分離できなかったグループでは 他のグループよりも特に「新しいものへの尻込みのしやすさ」と「慣れにくさ」が高いことが分かりました。
つまり、「新しいものが苦手で、慣れるのにも時間がかかる」性格なので、慣れていない場所でママと離れるのは(他のグループの子達よりも)より多くストレスを感じやすいため、母子分離が難しいというわけです。
一方、いつも母子分離できたグループでは「新しいものへの尻込みのしやすさ」が最も低い値でした。
つまり、「新しいもの好き」な性格なので、知らない場所でも殆どストレスを感じることがないために、最初から母子分離ができたというわけです。
このように、母子分離ができる/できないは、愛着の強さ(愛情が足りているかどうか)だけでなく、「新しいものが好きか/嫌いか」・「慣れるのに時間がかかるかどうか」という子どもの性格の違いによっても大きく影響を受けるものだと判りました。
うちの息子も新しい環境が苦手で、慣れるのにも他の子より時間がかかるタイプなので、母子分離が難しい方です。
でも、保育園への登園に関しては嫌がる時期と嫌がらない時期が交互にあったので、愛情は足りていたのかな、と思います。
うちの息子の体験をもとにした、園に預けるときに子どもが上手にバイバイできるようになる方法を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。↓
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まとめ―2~3歳の子どもがママと離れる時に泣くのは何も問題ない
では、これまでの話をまとめます。
子どもが保育園や幼稚園に預けるときに泣いてママから離れようとしなかったり、習い事の教室でママから離れられなくても、ほとんどの場合、心配ありません。
なぜなら…
- いつもスムーズにママから離れられる子どもはじつは30%もいない。
- ときどき又は後から少しずつ母子分離できるようになる子どもの方が愛情をしっかりと受け取っている。
- 母子分離ができるかどうかは「子どもにどれだけ愛情が伝わっているか」だけでなく「子どもの性格(気質)」にも大きく影響される。
…からです。
つまり、ときどきは泣かずにママと離れられる、あるいは少しずつではあるけれども、いずれママと離れられそうなお子さんについては、ママからの愛情はしっかりと伝わっており、その点は全く心配ありません。
ママへの強い愛着(愛情や信頼)があるおかげで、ママから離れるというストレスにも少しずつ立ち向かうことができ、時には心の拠りどころであるママのところに戻って来たりしながら、確実に成長していっている証です。
そんなお子さんの母子分離をより早く成功させたいのであれば、お子さんの性格に合わせた対策をとると良いでしょう。
例えば、新しい場所が苦手で 慣れるのにも時間がかかる子なら、保育園や習い事のレッスンの後に 少しだけ長く教室に残り、ママと一緒に教室を観察するのを繰り返せば早く母子分離できるようになるかも知れません。
一方で、最初からずっとママから離れられる子や、いつまでもママから離れられず、一向に変化がないようなお子さんは愛情が足りていない場合があります。
とにかく、現状でお子さんが母子分離を上手にできないからといって、必要以上に心配したり、思い悩む必要はないということです。
お子さんを信じて、お子さんの気持ちに寄り添い、長くあたたかい目で見守ってあげることが一番の母子分離への近道だと思います。
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