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育児について日々研究

子どもを甘えさせることが絶対にいいと断言できる5つの科学的事実

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子どもの正しい甘えさせかた 甘やかしとの違い

自信を持って子どもを甘えさせられていますか?

 < 今回のお悩み >

  • 自分の子どもの育て方について、夫や実母などに「甘い」または「甘やかしている」と言われた。

  • 子どもを甘えさせるとわがままになったり、自分では何もできない子に育つのではないかと心配。

  • 子どもが甘えたっ子なのだが、そろそろ突き放すべきか悩んでいる。

 ↑のように、子どもを「甘えさせる」ことについて、誰かから批判を受けたときや、今の子どもの性格に心配ごとがあるときなどは「本当にこのまま子どもを甘えさせていて良いのか?」と迷うことがあると思います。

 私も息子に対して特に甘やかしているつもりはないのですが、よく夫や実母からは「甘い」と怒られます。

 そんなときは「まだ3歳なんだから、甘えさせていいじゃない」と反論するのですが、夫は「息子がわがままな子になったり、自分一人では何もできない子になるのでは?」と心配して、子どもを甘えさせることに対して否定的です。

 そこで今回は、「子どもの成長にとって、甘えさせることは本当に良いことなのか?それとも悪いことなのか?」を科学的に検証したいと思います。

 

 

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子どもを「甘えさせる」こととは?

 例えば、2~5歳くらいのお子さんが転んでしまって泣いているとき、あなたならどう対応しますか?

  1. 「大丈夫?痛かったね。痛いの痛いのとんでいけ~」と抱いて起こしてあげて、打った箇所を撫でてあげる。

  2. 「それくらいで泣かないの!大丈夫!一人で立てるでしょ!」と子どもが自分で起き上がるまで待つ。

 どちらの対応が子どもにとって良い影響があるのかは後述するとして、上の例の場合ですと1の方が子どもに対して「甘い」対応であると言えます。 

 ちなみに、私も1の対応をよくしています。

 2の対応を普段からされている親御さんからすると、1の対応は「子どもを甘やかしていて、子どもの自立心をダメにする」と思われるのではないでしょうか。

 しかし、誤解がないように説明すると、1の例は子どもを「甘えさせ」てはいますが、「甘やかし」てはいません。

 「甘やかし」は、上の例で言うと「子どもが泣いておらず、自分で立とうとしているのに、親が一方的に抱きかかえて過剰に心配したり、必要以上に介抱する(泣き止ませるためにお菓子をあげたりする)」行為です。

  一方、1の例は 痛がって泣いている、または転んだことに対してショックを受けて泣いている、あるいは親に助けてほしいと思って泣いている子ども(つまり、甘えたがっている子ども)に対して、優しい言葉かけや抱っこしたり撫でたりするという 子どもがそのときに求めている対応を与えているだけです。

つまり、「甘えさせる」とは、甘えたがっている子どもに対して、子どもがそのとき求めている対応を適切に与えることです。

 それでは、この「甘えさせる」という行為は子どもの成長にとってどのような影響があるのでしょうか?

 過去に行われた動物実験や、ヒトを対象にした歴史的研究から明らかになった事実をご紹介していきたいと思います。

子どもを甘えさせないとどうなるのか?
甘えさせることは子どもの成長にとってどんな影響があるのか?

 子どもを「甘えさせる」ことは、子どもの成長にとってどのような影響を与えるのでしょうか?

 動物やヒトを対象にした研究結果をご紹介していきます。

動物を用いた研究でわかったこと

【脳科学で検証】本当に子どもを甘えさせて良いのか?

動物の子どもの甘えさせ方

 動物でもヒトと同じように子どもを「甘えさせる」ことをします。

 例えば、鳴いている子どもに対して舐めたり、毛づくろいしてあげたり、抱っこしてあげたりします。

 実験的にネズミの母と子を一時的に引き離し、その後もとに戻してやると、母ネズミが戻ってきた子ネズミをより一層かわいがる(舐めたり毛づくろいしてやる回数が増える)ことが観察されています。

 そして、母ネズミにたくさん舐められたり、毛づくろいをより多くしてもらって育てられた方が子どもはストレスに強くなり、学習能力と記憶力もより高くなることが報告されています。

 一方で、子ネズミが通常よりも1週間早く離乳させられた(母と離された)場合、身体的な発達に遅れはないものの、大人に成長したときに高いレベルの不安行動やストレス反応を示すことが報告されており、さらに学習能力と記憶力が低くなることが分かっています。

 また、メスの場合では 成長した後に自分が産んだ子どもを上手く育てることができなくなり、オスの場合では 他のネズミと一緒にいることで常にストレスを感じるようになり、相手を攻撃することが多くなります。

 サルの場合では、子どものときに母親と引き離すと不安行動を示し、絶望して引きこもりの状態になることが報告されています。

 また、成長後にも指しゃぶりや身体を常にゆするといった行動が目立ち、自傷行為まですることが観察されています。

 さらに、社会的な行動ができないため、群れに上手くなじむことができません。
 学習能力の発達も劣っていることが確認されています。

 サルにおいてもネズミと同じように、母親に育てられなかったメスザルは妊娠・出産しても、ほとんどの場合に自分の子どもを拒絶し、育児ができないことが報告されています。

 ゾウの場合では、密猟によって母ゾウや家族を失った若いゾウが高い攻撃性や暴力的行動、さらに異常な発情周期を示すことが観察されています。

 その若いゾウに年長のゾウを一緒にしてやると それらの問題行動が改善され、社会性が改善されることも報告されています。

 イヌの場合では、授乳を終えてはいるものの、まだ両親と一緒にいる時期(社会化期)に親と引き離すと、行動発達や社会性の発達に障害がでることが報告されています。

 これらの研究が一貫して示しているのは、生まれて間もない頃だけではなく、授乳期の後半(性成熟する前)の親と子どものかかわり方が 子どもの脳の成長にとって大きな影響を与えており、さらにそれによってストレスに対する強さ学習能力・記憶力社会性の高さなどが生涯にわたって永久的に決定づけられるということです。

ヒトを対象にした研究でわかったこと 

 1945年、ルネ・スピッツという心理学者によって、赤ん坊は たとえあらゆる基本的な欲求が満たされ、清潔で十分な食事が与えられ、温かい環境で育てられたとしても、愛情(ふれあいや笑顔での語りかけなど)を与えなければ1年以内に高い確率で死んでしまうということが報告されました。

 また1965年には、長期的に母子分離を行うと 子どもの知能や運動能力の発達が遅れ、愛情的な育て方をほとんどしない場合では子どもは体重が増えず、感染症にかかりやすくなり、死亡することが多くなったと報告されています。

 1985年に発表されたジーン・ルドルフ氏の研究では、ヴェネズエラにあるカウラ川の上流に住んでいる原住民Yequanaの人々について2年半以上にわたり調査したところ、原住民の親が頻繁に子どもを抱っこしたり、子どもが欲しがるだけ授乳したり、添い寝をしてあげることによって、子どもたちは皆よく行動し、決して争わず、だれも罰せられることもなく、いつも幸せそうで、すぐに大人の言いつけに従うようになることが報告されています。

 2000年代には、乳幼児期の親子のふれあいが、その子どものストレスに対する強さや学習能力、記憶力などを生涯にわたって決定するメカニズム(仕組み)が徐々に解明されてきました。

親子の「ふれあい」が子どもの脳をストレスに強くさせ、
学習能力・記憶力、社会性などを高めるメカニズム

 では、そのメカニズムを簡単に説明したいと思います。

(※むずかしい話が苦手な方は読み飛ばしてください。)

 

 親が優しく子どもにスキンシップすることによって、触覚神経の中でも 特に優しくて暖かい接触に対してのみ反応する神経(C触覚繊維)が活性化され、オキシトシンという神経伝達物質が脳の中で分泌されます。

 そして、オキシトシンはセロトニン神経系を活性化させ、セロトニンという神経伝達物質を分泌させます。

 このセロトニンがストレスに強い脳を作ってくれます

子どもを甘えさせることの重要性

親子のふれあいがストレスに強い脳をつくる(クリックすると大きな画像が見れます)


 わたしたちの身体はなんらかのストレスを受けると、体内でそのダメージから回復するために、炎症反応をおさえるコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。

 しかし、あまりに多量のコルチゾールが分泌されると 神経細胞が変形したり、破壊されてしまいます。

 特にダメージを受けやすいのは コルチゾールの受容体(コルチゾールを受け取るタンパク質)が多く存在している海馬と呼ばれる脳の部分です。

 コルチゾールの受容体がコルチゾールを受けとると、コルチゾールの分泌にブレーキをかける仕組みが働くのですが、海馬がダメージを受けてしまうと、コルチゾールの受容体が減ってしまい、コルチゾールの分泌がおさえられにくくなってしまいます。

 そして、神経細胞がコルチゾールによって何度も刺激されつづけると、ほんの少しの刺激に対しても敏感に反応するようになってしまいます。

 つまり、繰り返しストレスを受けることによって、ますますストレスに弱い脳になってしまうということです。

 海馬は3歳~5歳の時期にかけて特に発達するのですが、この時期に何度もストレスを受けると非常にストレスに弱い脳になってしまいます。

 そして、分泌されたコルチゾールによって脳の神経細胞がどんどん破壊されていくと、大人になっても学習能力や記憶力に障害が生じたり、社会的な行動をとれなくなったり、さらに、攻撃的な性格になって暴力的な言動が多くなったりします。

 一方で、乳幼児期にやさしいスキンシップをたくさん受けて育てられた場合では、オキシトシンの分泌によって 海馬のなかでセロトニンが分泌され、それによってコルチゾールの受容体の遺伝子が活性化(脱メチル化)されて、コルチゾールの受容体がより多く作られるようになります。

 そして、海馬内でコルチゾールの受容体がたくさん作られることによって、ストレスに強い=コルチゾールの分泌をおさえる仕組みがよく働く 脳になります。

 ストレスに強い(コルチゾールの分泌にブレーキがかかりやすい)と、神経細胞が傷つけられることが少なくなり、その結果、共感能力(ほかの人の気持ちを読み取る能力)が高くなったり、社会性が高まったり、短期記憶や長期記憶の能力が高くなったりするのです。


 また、オキシトシンが分泌される量やオキシトシンに対する感受性は乳幼児期に親から受けるスキンシップによって永久的に決定されることが分かっています。

 例えば、ネグレクト経験を持つ子どもと実の両親に育てられた子どもを比較すると、何もしていない場合ではオキシトシンの分泌量にちがいは無いにもかかわらず、母親と30分間コミュニケーションをした後では、ネグレクト経験を持つ子どもは すでに新しい親に可愛がって育てられているにもかかわらず、実の両親によって育てられた子に比べてオキシトシンの分泌が少ないということが報告されています。

 また、オキシトシンを鼻から投与した場合、通常の人であればストレスを受けたときにコルチゾールの濃度が下がるのに対して、幼いころに両親の離婚などのトラウマ経験を持つ人では 投与したオキシトシンが十分に働かず、コルチゾール濃度が下がらないことが報告されています。

 つまり、幼児期に親から愛情をたっぷり受けて育てられたかどうかが、成長した後も長い期間にわたってオキシトシン神経系のはたらきに大きな影響を与えており、受けとった愛情が少なかった子どもほど、オキシトシン神経系が働きにくくなっていることがわかります。

 そして、オキシトシンが分泌されにくいということは、標的であるセロトニン神経系も働きにくくなっているということが考えられます。

研究によってわかった
親の愛情が子どもに与える影響 のまとめ

これまでの研究報告をまとめますと、

 愛情をしっかり受けて育てられた場合

  1. 不安やストレスに強くなる = どんなことにも前向きに取り組むことができ、辛くても頑張ることができる。

  2. 社会性や共感能力が高くなる = 良好な人間関係を築くことができる。

  3. 学習能力や記憶力が高くなる。

  4. 攻撃性が低く、暴力的な行動が少なくなる。

  5. 自身が親になったときに育児をうまくできるようになる。

愛情が足りずに育てられた場合

  1. 不安やストレスに弱く、うつ状態になりやすくなる。

  2. 他者の気持ちが理解できず、対人関係がうまくいかない。

  3. 学習能力や記憶力に障害がでる。

  4. 攻撃性が高くなり、暴力的なふるまい(言動)をする。

  5. 自身が親になったとき、育児がうまくできない。

  6. 抑えがたい異常な性衝動があらわれる。

 そして、これらの違いは乳幼児期にどれだけ親から愛情的なふれあいを与えられたか=どれだけ甘えさせてもらったか によって一生涯決まってしまうのです。

つまり、子どもを幼い頃にしっかり甘えさせなければ、たとえ成長した後でどれだけ甘えさせたとしても、取り返しがつかないのです。

 

子どもはいつまで甘えさせると良いのか?

 では、幼い頃に甘えさせることが重要なことは分かりましたが、具体的には何歳まで子どもを甘えさせるのが良いのでしょうか?

 先ほどメカニズムのところで、ストレスに対する強さと脳の海馬に深い関係があることをご紹介しました。

 海馬は3~5歳ごろに特に発達すると言われています。

 さらに、脳梁と呼ばれる左右の脳の情報をつないでいる部分については9 ~10歳ごろ、人間の脳の中でもっとも重要とされる前頭前野については14~15歳ごろに最も発達すると言われています。

 これらの脳の発達過程を考えれば、15歳ごろまでは甘えさせるべきだと言えます。

 この15歳という年齢は第二次成長期(性徴期)の終わりごろです。

 上記のネズミやイヌの実験でも、性成熟する前に親と引き離すことによって悪い影響が観察されていることからも、やはり15歳ごろまではしっかりと「甘えさせる」ことが必要だと言えます。

どのように子どもを甘えさせると良いのか?

 以上のように、とくに乳幼児期~15歳くらいまでは子どもを甘えさせることが重要であると分かっていただけましたでしょうか?

 では、子どもをどのように甘えさせるのが良いのか、もう一度ふりかえりましょう。

 記事の上の方で、「甘えさせる」というのは、甘えたがっている子どもに対して、子どもがそのとき求めている対応を適切に与えることだとお伝えしました。

 これに、先ほどご紹介した科学的な知見をふまえると、こういう風に言い換えることができます。

 子どもが甘えたがっているときは、オキシトシンが分泌されるように、抱っこしたり撫でたりするなどの優しいスキンシップをしながら、子どもがそのとき求めている対応を適切に与えることが理想的な「甘えさせかた」と言えるでしょう。

 誤解しないでいただきたいのは、とにかくスキンシップをすれば良いというわけではなく、子どもが安らぎや安心感を感じてくれることが重要です。

 なにかにつけてベタベタと抱っこしたり撫でたりしていると、子どもがそれで安らぎを感じてくれるうちはオキシトシンが分泌されますが、子どもが「暑いから離してほしい」「遊びたいから離してほしい」「恥ずかしいから離してほしい」などと、そのスキンシップに安らぎを感じない場合はオキシトシンは分泌されず、むしろ不快(ストレス)に受け取られてしまうので、ご注意ください。

  

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まとめ―
子どもを甘えさせることは科学的に「正しい」

では、これまでのお話しをまとめます。

「子どもを甘えさせることが 子どもの成長にとって良い影響を与えること」、また、「子どもを幼児期にしっかり甘えさえないと 悪い影響 が出ること」は科学的に証明されています

 そして、子どもを甘えさせることが絶対にいいと断言できる理由として、以下の5つが挙げられます。

乳幼児期にたっぷり甘えさせられて育つと…

  1. 不安やストレスに強くなる = どんなことにも前向きに取り組むことができ、辛くても頑張ることができる。

  2. 社会性や共感能力が高くなる = 良好な人間関係を築くことができる。

  3. 学習能力や記憶能力が高くなる。

  4. 攻撃性が低く、暴力的な言動が少なくなる。

  5. 自身が親になったときに育児をうまくできるようになる。


 そして大事なことは、子どもは幼い頃にたっぷり甘えさせなければ、たとえ成長した後でどれだけ甘えさせたとしても、取り返しがつかないということです。

 記事の最初の方で例に出したような、子どもが転んでしまって泣いているときなどは、絶好の「甘えさせ」チャンスです。

 自然にスキンシップがとれますし、子どもに安らぎと安心感を与えることができます。

 にもかかわらず、「一人で立てるでしょ!」とせっかくの「甘えさせ」チャンスを見逃して、子どもの脳内でオキシトシンを分泌させず、海馬にダメージを与えるのは非常にもったいないと思います。

3歳~5歳ごろというのは、子どもが幼稚園や小学校に入る前ということもあり、親としては「甘えさせる」ことに不安を感じやすい時期ですが、生物学的には15歳ごろまでの子どもはまだまだ未熟な存在です。

 ましてや、3~5歳であればなおさらです。

 自信をもって、安心してぞんぶんにお子さんを「甘えさせて」ください。

私も、まだ3歳の息子を今のうちにたっぷり「甘えさせて」育てていきたいと思います。


 

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参考文献

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