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何歳で卒乳すると頭が良くなるのか、卒乳時期の早い・遅いの違いとは?

子どもが卒乳するのはいつ?何歳?卒乳が遅い方が子どもの頭が良くなる

今回のお悩み
    • 子どもがもう1歳なので、そろそろ卒乳させなければと思っている。

    • 子どもがもう2~3歳なのに、なかなか卒乳できなくて困っている。

    • 卒乳できないなら、断乳するべきかと悩んでいる。

 ↑のようにお悩みのママさんは意外と多いのではないでしょうか

 私もそうでした。うちの息子は3歳までおっぱいを吸っていました。

 だから、お子さんの卒乳で悩む気持ちは痛いほど良くわかります。

 そこで今回は、卒乳時期に悩んでいるママさん達に「子どもの卒乳時期について悩む必要なんてないですよ!」とエールを送りたいと思います。

 むしろ、3歳や4歳で まだおっぱいを吸っている子がいるなら、それは頭のいい子に育つチャンスです!

 ぜひ5~6歳くらいまでは(子どもから「もういらない」と言うまで)思う存分におっぱいを吸わせてあげてください。

私も息子が卒乳する前にこれからご紹介する情報を知っていたなら、もっと卒乳時期を後にずらすように努力していたと思います。本当に残念です…。

もし、それでも「どうしても早く卒乳させたい!」とお望みの方はこちら↓の記事をご覧ください。(※今回ご紹介する情報を知る前に書いた記事です。)

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子どもが卒乳するのは何歳が「普通」なのか?2~4歳でおっぱいを吸うのはごく自然なこと

 日本では子どもにおっぱいを吸わせるのをやめる時期として、おおよそ1歳代を目安にされています。

 これはおそらく離乳食の完了(12~18ヶ月頃)に合わせてあるのでしょう。

 「必ず〇歳までに卒乳させなさい」とは母子手帳のどこにも書いていません。

 にもかかわらず、日本では2歳の子どもがおっぱいを吸っていれば「あらあら、まあまあ」という感じで心配されたり、冷ややかな目で見られたりします。

 3~4歳の子どもがおっぱいを吸っているともなれば、「キモイ」「頭おかしい」などと、心無い陰口を言われたりします(経験談)。

 一方で、アメリカでは乳離れは3~4歳、オーストラリアでは5歳以降が標準的な目安となっています。

 4歳でおっぱいを吸っている子を見て「おかしい」と言う人にとっては、アメリカ人やオーストラリア人のほとんどが「おかしい」わけですね!(爆)

 ですが、子どもが乳離れする年齢に国別の差はあっても、「うちの子はなかなか卒乳してくれなくて心配」という親御さんは世界共通のようです。 

 こちらの記事『6歳で乳を吸う子どもについての正しい理解』(原題:What's Right About A 6-Year-Old Who Breast-Feeds)によると、イギリスに住む ある6歳の女の子が いまだにおっぱいを吸っていることが報道され、アメリカでは賛否両論の議論が巻き起こりました。

 批難する人の中には「キモイ」「病気だ」などという意見もありましたが、多くの人は女の子の親御さんを支持する意見だったそうです。 

 今回は、上の記事の中から支持派の意見として紹介されている学者さんの意見をもとに、子どもは何歳までおっぱいを吸うのが「普通」なのか?という疑問にお答えします。(←前置きが長くなってすみません…汗)

(※日本語訳はすべて私によるものです。読みやすいように結構意訳しちゃってますが、ご容赦ください。)

 オクラホマ大学の人類学者 BARBARA J. KING氏は次のように述べられています。

 私たち人類学者としては、ヒトの進化を考えれば、3〜4年間子どもに乳を与えることはごく自然で健康的なものだと言えます。

 そして、当然 母乳育児の期間に個人差があることもあたりまえだと言えます。

 
また、デラウェア大学の人類学者Katherine Dettwyler氏も次のように言っています。

 私の人類学の研究や、ヒト以外の霊長類を対象にした研究、または霊長類以外の哺乳類を対象にした他の研究によって、哺乳類では たとえ子どもの身体が大きくなったとしても、子どもの最初の永久歯が生えてくる(ヒトでは5歳半~6歳)までは、何年間も子どもに乳を与え続けるということは「ごく自然なこと」だと分かっています。

 そしてそれは、進化論的、生物学的、生理学的な観点から、私たちヒトという生物種にも同様に当てはまります。

 ヒトが生物種として自然な授乳期間、つまり2年半~7年以上の間、子どもに授乳することが「子どもの精神的な発達」にとって有害であると報告された研究はありません

6~7歳以上の子どもに乳を吸わせることは、子どもにとって完全に普通で、自然で、健康的なことであり、誰かが6~7歳の子どもに乳を吸わせることに対して嫌悪感や恐れを感じたとしても、それは全く根拠のないものであることを、もっと世の中に広めるべきです。

米国では他の西欧諸国と同様に3歳以上まで乳を吸っている子どもが非常に大勢います

これは人々が思うほど珍しいことでも、異常なことでもありません。

つまり、7歳くらいまでは子どもにおっぱいを吸わせていても 何もおかしくない ということですね!

 ちなみに、イギリスでは9歳までお乳を飲ませていた母娘さんもいらっしゃるようです(こちらのページです→Why this mom is still breastfeeding her 9-year-old kid)。

生物学的には2歳半~7歳以上までおっぱいを吸わせることが自然であるなら、1歳代での卒乳を暗に強要されている日本の育児事情は大丈夫なのか?と逆に不安になります。 

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子どもが自然に卒乳する理由は?卒乳が早い子と遅い子の違いは進化の違いにあった

 そもそも、赤ちゃんが自然に卒乳する理由は何なのでしょうか?

 その理由は、ラクターゼという母乳の中に含まれるラクトース(乳糖)を分解する酵素(タンパク質)にあります。

 簡単に言うと、赤ちゃんの頃は 私たちの身体の中でラクターゼが作られ、それによって母乳を消化することができるのですが、成長にともなって徐々にラクターゼが作られなくなり、母乳を飲むと消化不良を起こしてお腹が痛くなったり、下痢になったりするようになります。(※これをラクトース不耐症または乳糖不耐症と呼びます。)

 そして、子どもの好き嫌いについての記事(子どもの好き嫌いが起こる原因と科学的に効果のある治し方)でもご紹介したように、摂取すると体調が悪くなる食べ物(飲み物)は嫌いになるという自然な仕組み「味覚嫌悪学習」のために、赤ちゃんは自然におっぱいを吸わなくなるのです。

 つまり通常であれば、ラクトース不耐症によって赤ちゃんは成長とともに自然に母乳を嫌がるようになるということなのですが、うちの息子を含め、最近の赤ちゃんは大きくなってもおっぱいが大好きなままの子が増えているようです。

 それについて、ハーバード大学のKatie Hinde氏は次のように述べています。※( )内は私による補足です。

 この議論では、遺伝子と文化の共進化を考慮しなければなりません。

 ヒト以外のすべての哺乳動物では、乳児期から若年期への成長の早い段階でラクターゼを作ることができなくなり、母乳を消化できなくなります。

 一方で、歴史的に古くから(牛やヤギなどの)動物の乳を飲む文化が伝わってきた地域に住む人々では、動物の乳を消化できるようにラクターゼの持続性が保たれるように進化しました。

 したがって、(古くから動物の乳を飲む文化がなかった地域においても)子どもに5年以上母乳を与えていながら、子どもに消化の問題が起こらないということは、(乳製品の普及に伴なって)乳製品を消化できるように進化した結果なのではないか、と真剣に議論するべきです。

 つまり、なかなか卒乳できない子は進化した新人類ということですね!

 最近の現代っ子は親知らずの歯が生えてこないそうですが、それと同じでしょうか?(※ちなみに、私は親知らずがちゃんと生えてる旧人類です…笑。)

卒乳が遅くて心配だという親御さんは「うちの子は進化した現代っ子だから、卒乳が遅くてもあたりまえ!」と考えると、だいぶ心が軽くなりませんか? 

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卒乳が遅いとどんな影響がある?じつは子どもの脳や心・身体の発達にとって、卒乳は遅いほうが良い

 ここまで読んで、子どもの卒乳が遅いのは「自然なこと」だとお分かりいただけましたでしょうか?

 とは言っても、長い期間おっぱいを吸わせることで、子どもにどんな影響があるのか?気になりますよね。

 それについて、デラウェア大学の人類学者 Katherine Dettwyler氏が次のように紹介しています。

 ヒトが生物種として自然な授乳期間、つまり2年半~7年以上の間、子どもに授乳することが「子どもの精神的な発達」にとって有害であると報告された研究はありません

 その一方で、長期間の母乳育児によって、より子どもの自主性が高くなり、社会的能力の測定テストにおいても高い得点を取るようになるという研究結果は何例も報告されています。

 母と子の両方が望むのであれば、長期間 母乳を与えた方が非常にメリットが大きいと言えます。

 長期の母乳育児は、子供の脳や顔の構造、免疫システムの発達、そして人生における様々な困難にも くじけることの無い しなやかな心の成長を促します

つまり、卒乳が遅ければ遅いほど、子どもの脳や心・身体にとって良いことがたくさんあり、害はひとつもないということです。

 おっぱいを長く吸わせると、何故そのような良い影響が表れるのでしょうか?

 その理由については おそらく、おっぱいを吸う=子どもと母親の肌の触れ合いが多くなるために神経伝達物質であるオキシトシンが多く分泌され、その結果、脳や身体に良い効果が出るのだと考えられます。

 親子のふれあいとオキシトシンについては、こちらの記事↓で詳しくご紹介していますので、よろしければお読みください。

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まとめ―子どもの卒乳時期や影響を心配する必要はない!頭が良い子に育てたいなら、むしろ卒乳は遅いほうが良い

 では、これまでのお話をまとめます。

 お子さんがなかなか卒乳してくれず、「いつになったら卒乳してくれるの?」「どうしたら卒乳してくれるの?」などと悩む必要はまったくありません! 

 なぜなら、

POINT
    1. アメリカやオーストラリア、イギリスなどの海外では、子どもがおっぱいを吸うのは4歳まであたりまえとされているから

    2. 進化論的・生物学的・生理学的に、ヒトは7歳くらいまでおっぱいを吸うのは自然なことだから

    3. 卒乳の時期が遅い子は(ラクターゼの持続性について)進化している現代っ子だから

    4. おっぱいを長く吸っている方が、頭がよく心身ともに健全で優れた子どもになるから

です! 

 もちろん、だからといって無理に子どもに長くおっぱいを吸わせる必要はありません。

 どうしても子どもに早く卒乳して欲しいのであれば、こちら↓の記事をご参照ください。(※今回の記事内の情報を知る前に書いた記事です。)

 私は3歳すぎまで息子におっぱいを吸わせていて、当時は「とにかく早く卒乳して欲しい」と思っていましたが、今回の記事でご紹介した情報を知った後では「なぜあんなに焦っていたのだろう?卒乳なんてもっと遅くにさせれば良かった」と後悔しています。

 今回の記事が、当時の私のように子どもの卒乳時期を焦っている方にとって少しでも安心できる材料になれば、あるいは「早く卒乳しなければ」という考えを見直すきっかけになれば幸いです。

一日でもはやく、日本でも長期母乳育児についての理解が世に広まればよいと思います。

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参考文献

 

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