- くもんの宿題が多すぎて、子どもがやりたがらない。
- 子どもが宿題をやらないので、ついつい怒ってしまう。
- くもん教室には通い始めたばかりで、家庭学習の習慣がまだついていない。
子どもをくもん教室に通わせ始めたものの、宿題のプリントが多すぎて子どもが宿題するのをいやがる!とお困りの親御さんは結構多いのではないでしょうか?
私もその一人でした。
まだくもん教室には入ったばかりなのに、3歳の息子がもう宿題を嫌がるようになってしまい、「くもんへの入会は失敗だったかな~?(汗)」と入会2週間にして後悔しました。
でも、たった1つ、あることをしただけで、うちの息子はそれまでとは別人のように宿題を喜んでするようになりました。
あまりに単純で簡単な方法なので、正直、わざわざ記事に書いて紹介するのはどうかと悩みました。
でも、私と同じように小さい子どもをくもん教室に通わせている方や、これから通わせようとお考えの方にとって、少しでもご参考になれば良いと思います。
また、あまりに単純な方法だけでは、せっかく読んでいただいた方の貴重な時間を無駄にするだけかもしれないので、8歳までの子どもの国語テストの成績の良し悪しには遺伝子が関係しているというおもしろい話もご紹介したいと思います。
それでは、ご紹介していきます。
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くもんの宿題は子どもにとってつまらないし、飽きやすい
くもん教室の宿題プリントの多さは有名ですよね。
子ども一人ひとりに合わせた学習内容になっているとは言え、1週間で100枚程度プリントをやるとなると、やらされる子どもも大変ですが、やらせる親も大変です。
うちの息子は現在、週に1回くもん教室に通っているのですが、まだ通い始めて4週目だというのに、もう宿題をするのが嫌になってしまい、困っていました。
しまいには、私がキレて息子を泣かせながら無理やりやらせる始末…。
嫌がる息子に無理やりやらせても、息子はますますプリントを嫌いになるばかりで、このままでは勉強自体も嫌いになってしまうかも…?
あるいは、さらに悪いことに、親子の関係が歪んでしまうかも…?!
それならもう、くもんを(入会したばかりですが)辞めようかと本気で悩みました。
しかし、先日ご紹介した「子どもの食べ物の好き嫌いをなおす方法」を思い出し、
嫌いな食べ物でも好きになる脳の仕組みを利用すれば、この宿題プリントも子どもにとって好きなものに変えられるのでは?
と思い、ある方法を試してみることにました。
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嫌いなものを好きになる脳の仕組みを利用して、くもんの宿題をさせてみた―ごほうび作戦
ごほうびでドーパミンを出させる
ある食べ物を食べたとき、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質(脳内の神経細胞同士で信号をやり取りするときに用いる物質)が出れば、それを「もっと欲しい」と思うようになります。
つまり、たとえ不味い食べ物を食べたとしても(実際に不味いと感じても)、脳内でドーパミンが出れば「もっと食べたい(不味いけど、好き)」と思うようになるのです。
そして、食べた瞬間にドーパミンが出る場合だけではなく、食べた後からドーパミンが出る場合でもその食べ物を好きになります。
例えば、味は不味いけど、食べた後に気分が良くなるとその食べ物を好きになるということです。
さらに、その不味い食べ物を好きになった後では、その不味い食べ物を食べるだけで(気分が良くなる効果が無くても)ドーパミンが出るようになります。
この理屈から考えれば、宿題プリントをしたすぐ後に「ごほうび」をあげれば、脳内でドーパミンが出て、
宿題をする → ごほうび → ドーパミンが出る → 宿題を好きになる
↓ ↓ ↓ ↓
宿題をする → ドーパミンが出る
というような脳の回路を作れるのではないか?と考えました。
ごほうび作戦の効果は?
そこで、私は息子が好きなチョコベビー(これです↓)をごほうびにすることにしました。
このチョコベビーは1粒1粒は本当に小さいので、チョコとはいえ、これなら多少食べさせても大丈夫だろうと思い、ごほうびに選びました。
そして、息子がプリントを1枚(2〜3問)終えるごとに、チョコベビーを2〜3粒あげることにしました。
すると、驚くほど息子の行動が変わりました。
今までは宿題をやらせるために、まずは机に座らせることから苦労していたのに、ごほうびを見せた途端、自分で喜んで机に向かい、意欲的に宿題プリントをするようになりました。
さらに、プリントの取り組み方も、これまでは興味なさそうに取り組んでいたのが、真剣に、なおかつ楽しそうに取り組むようになりました。
結果、ひらがなを覚える速度が急に速くなり、覚えたひらがなも一気に増えました。
(↑うちの息子は今、くもんの国語の7Aをやっています。)
しかも、次の日には自分から「宿題やる!」と言いだしたのです。
さらに、前日には読めなかったひらがなもしっかり読めるようになっています。
3日目は自分からは言いだしませんでしたが、「宿題やって、チョコ食べよっか?」と私が誘うと、喜んでやりだしました。
このごほうび作戦は今のところ、結果だけ見るとと大成功と言えます。
しかし、こんな水族館のアシカショーのような(指示に従ったらエサをやるという)ごほうび作戦は、育児において「正しい」のでしょうか?
「ごほうびが貰えないと何もやりたがらない自堕落な人間」になってしまう危険性はないのでしょうか?
心配になったので、ごほうびがもたらす影響について、少し調べてみました。
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ごほうび作戦は科学的に有効なのか?悪影響はないのか?
ここからは、ごほうびの影響について、科学的に報告されていることをご紹介します。
効果的なごほうびは成績をアップさせることが実証されている
子どもにごほうびを与える影響について、2011年にハーバード大学のローランド・フライヤー教授が「金銭的な報酬と学生の成績」という論文を発表をされています。
その論文をもとに、フライヤー教授が行った実験と結果をご紹介させていただきます。
- 「テストで良い点を取ったらごほうび」「本を一冊読むごとにごほうび」「練習問題を解くごとにごほうび」など、勉強に外発的な動機付けを行った。
- 対象は小学2年生〜中学3年生の子どもたち。250校に及ぶ学校で実験を行った。
- この実験の後に、「ごほうびを与えた子ども達」と「ごほうびを与えなかった子ども達」の「勉強に対する内なる意欲」を測定した。
「ごほうびを与えた子ども達」と「ごほうびを与えなかった子ども達」の間に、「勉強に対する内なる意欲」の差はなかった。
この研究結果を見て、安心しました。
ごほうびの有る無しは、子どもの勉強への意欲に関係しないと実験ですでに立証されているんですね。
また、ごほうびの与え方についても比較してあります。
- 結果に対してごほうびを与える場合
学力テストの成績や、通知表の点数が上がればごほうびを与える。 - 過程に対してごほうびを与える場合
本を1冊読む、宿題を終える、学校にちゃんと出席する、練習問題を1問解くごとにごほうびを与える。
- 成績が向上したのは、過程に対してごほうびを与えられた場合のみだった。
- 最も成績が上がったのは本を1冊読むとごほうびを与えた場合だった。
- 結果に対してごほうびを与えた場合では「成績の向上」はなかった。
- つまり、過程に対してごほうびを与えることが効果的であることが分かった。
私が息子にプリントを1枚やるごとにチョコベビーを与えることは、「過程に対してごほうび」を与えていることになるので、やり方は間違っていなかったようです(ほっ…)。
実際、うちの息子はごほうびを与えるようになってから、宿題のプリントじゃなくても、目に留まった絵本などのひらがなを自分から読むようになりました。
これはつまり、ごほうびを貰えることとは関係なく、息子自身が「ひらがなを覚えたことによって、それまでは読むことができなかった文字が読めるようになった」という自身の成長を実感したり喜んでいるからだと思います。
また、ひらがなを読めるという知識の土台ができたことによって、「これは何て書いてあるんだろう?」という、さらなる知的好奇心も刺激されていることの現れだと思います。
ところで、うちの息子の場合は今のところチョコベビーがごほうびとして効果的に働いていますが、子どもによってごほうびは変えた方が良いみたいです。
フライヤー教授の研究でも、「小学生以下の子どもではごほうびとしてお金をもらうより、たとえ安物でもトロフィーのようなものが好まれ、中高生はお金の方を好んだ」と報告されています。
私のママ友では、くもんの宿題プリントを3枚やったら、ごほうびとして「テレビを30分間見れる」というのを採用しています。
うちの息子も歯に悪いチョコじゃなく、もっと健康的なものをごほうびにしたいところですが、それは追々改善していきたいと思います。
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ごほうびの効果は古くから心理学実験で立証されていた
ところで、「宿題をやったらごほうびを与える」ではなく「宿題をやらないと罰を与える」方法だとどうなるのでしょうか?
結果は、子どもはさらに宿題をしないようになるばかりか、他のことまでやりたくなくなる(無気力になる)危険性があります。
これは、古典的な心理学の実験(ネズミのT字路実験)によって立証されています。
(この実験を詳しく知りたい方は、ぜひネットで調べてみてください。)
心理学の実験で立証されている、学習の効率が良い方法は次の順番です。
- 正解の場合にごほうびを与える。
- 正解の場合はごほうび、間違った場合は罰を与える。
- 間違った場合に罰を与える。
※罰のみを与えた場合は学習効果はなく、無気力になる。
②の「アメとムチ」よりも①の「アメだけ」の方が学習効率が高いだなんて、ちょっと驚きですね。
「子育ては叱らなくていい、褒めるだけでいい」と書いている育児本はたくさんありますが、その根拠はずっと昔にすでに実証されていた心理学の実験結果だったのです。
褒めることは幼児にとって「ごほうび」になるのか?
では、「ほめ言葉」は子どもにとって「ごほうび」として受け取ってもらえるのでしょうか?
結論を先に言うと、じつは幼い子どもはまだ「ほめ言葉」を十分な「ごほうび」として受け取ることができません。
なぜなら、幼児の脳は大人に比べるとまだ未発達な状態なので、ほめ言葉などの「社会的な報酬」を十分に理解することが難しいのです。
大人なら出世や表彰、名誉、名声、周囲からの信頼や称賛、羨望、感謝される心などの価値が分かりますよね。
これらはお金やお礼の品のように目に見えるものではなく、目に見えない報酬です。
私たちがこの「見えない報酬」に価値を感じるのは、進化の過程でヒトが群れ社会を形成し、それに伴って脳も「社会性」を身に着けるように進化した賜物なのです。
そして、その「社会性」は脳の前頭前野でコントロールされています。
この前頭前野が、幼児の脳ではまだ成熟していないのです。
山梨大学大学院から発表された「社会脳の成長と発達」という論文によると、5~6歳の幼児の前頭前野はまだまだ未成熟であり、年齢があがるにつれて前頭前野の働きがよくなってきて、15歳頃でやっと大人と同じレベルになるそうです。
ということは、3歳のうちの息子に「宿題やってエライね!」といくら褒めた(社会的な報酬を与えた)ところで、あまり効果はないということです。
おそらく、「なぜ宿題をやらなければならないのか?」すら理解していないです。
大人なら、宿題をやらないと「社会的な自分の評価」が下がるので、ダメなことだと分かります(←宿題をしなくても学力への影響はないものと仮定したとき)。
でも、幼い子どもは社会性がまだ発達していないため、宿題をやらないと「先生が怒るから(=怒られなければいい)」くらいにしか理解できません。
「社会」や「社会的な自分の評価」を大人と同じようには理解できないからです。
そして、さきほど紹介した心理実験の結果の通り、「先生に怒られる=罰を与える」方法では「宿題をしなくてはならない」ということを「学習」できません。
ですので、 特に幼児には「ほめ言葉」よりも「目に見えるごほうび」の方がわかりやすい分、効果的なのだと考えられます。
※ただし、ほめ言葉は幼児にとってまったく意味がないというわけではありません。
脳の発達途中段階でも、お母さんの笑顔や肯定的な言葉は子どもの脳にとってプラスの影響を与えます。
つまり、嬉しい時に脳内で出るドーパミンや、安心感を感じたときに出るセロトニンなどの脳内伝達物質が「脳の発達」を促進させるのです。
セロトニンについては、こちら↓の記事で詳しく解説しています。
しばらくは、わが家もチョコベビーを「目に見えるごほうび」、ほめ言葉を「目に見えないごほうび」として併用しながら、息子の脳の発達をゆっくり見守っていきたいと思います。
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幼い子どもの国語テストの成績は遺伝子による影響が大きい
最後に、8歳までの子どもの国語力には遺伝子が関係しているという興味深い話をご紹介します。
首都大学東京大学院の発表「児童期の言語機能に遺伝要因が年齢に応じて関与~ことばの発達の仕組み解明に貢献」によると、「COMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)」という遺伝子が幼い子どもの国語の成績に大きく影響を与えていることが分かりました。
COMT遺伝子には3種類の変異タイプ(Val/Val、Val/Met、Met/Met)があり、その変異タイプの違いによって、国語テストの成績が良かったり悪かったりするそうです。
論文中の実験では、6~10歳の小学生246人のうち、Val/Valタイプを持つのは47.6%、Met/Metタイプを持つのは44.7%、Val/Metタイプを持つのは7.7%でした。
(Val/ValとMet/Metでおよそ半々ですね。)
そして、低学年(6~8歳)ではMet/Metタイプの方が国語テストの成績が良かったのです。
しかし、高学年(9~10歳)になるとVal/ValタイプとMet/Metタイプに差はなくなりました。
この遺伝子の変異タイプの差がなぜ6~8歳では国語テストの成績に関係しているのか、また、高学年になるとなぜ差がなくなるのか、そのメカニズムまで研究発表では触れられていますが、それはまた別の記事でご紹介したいと思います。(←また長くなっちゃうので)。
- Coming Soon!
この研究では、小学生より幼い子どもについては実験されていませんが、低学年ではMet/Metタイプの子どもの方が国語力が高いという結果から、おそらく、Met/Metタイプの幼児はVal/Valタイプの幼児に比べると言葉の発達がはやいと思われます。
うちの息子がどのタイプのCOMT遺伝子を持っているのかは分かりませんが、もしもVal/Valタイプを持っていて、今後、くもんで国語を習っているのに国語力がなかなか伸びないとか、低学年のうちに国語の成績が悪かったとしても、いずれ高学年になれば遺伝子による差は見られなくなるので、それほど一喜一憂しないでOKということですね。
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まとめ―くもんの宿題やその他の家庭学習は親子で楽しみながらするのが一番大事
ここまでのお話はいかがでしたでしょうか?
“くもんの宿題をそれまで嫌がっていた息子に、チョコレートをごほうびにあげたら喜んでやるようになった”という、ものすごく単純な話なのに、がんばって色々と講釈たれてみました(笑)。
では、まとめます。
- くもんの宿題が多すぎて、子どもがやりたがらない。
- 子どもが宿題をやらないので、ついつい怒ってしまう。
- くもん教室には通い始めたばかりで、家庭学習の習慣がまだついていない。
↑という風に、子どもがくもんの宿題するのをいやがる!とお困りの親御さんは、ぜひ「ごほうび」を活用してみてください。
ごほうびを与えることは、子ども自身の勉強への意欲には影響を与えないことが研究によって確かめられています。
つまり、「ごほうびがないと勉強する気になれない子ども」になるのでは?という心配は無用です。
ただし、ごほうびのあげ方には注意が必要です。
例えば「プリントを1枚または10枚やったらごほうびをあげる」などの「過程に対するごほうび」なら良いのですが、「次のテストで100点取ったらあげる」などの「結果に対するごほうび」では、お子さんに良い変化は期待できません。
また、ごほうびはお子さんの年齢や好みに合わせたものを用意してください。
ほめ言葉はもちろん大事ですが、幼児には目に見えるごほうびの方が有効です(←幼児の脳はまだ発達の途中段階であるため)。
さらに、子どもが小さいうちは国語力(言葉など)の発達は遺伝的な影響が大きいので、遅かろうと早かろうと、心配しすぎないでください。
大事なのは、たとえ宿題だろうと、親子で楽しみながらするのが一番だということです。
そうすることで、子どもの脳内でドーパミンやセロトニンなどの脳の発達に重要な脳内伝達物質が出て、子どもの脳の発達を促進させます。
間違っても、少し前の私のように、叱りつけて息子を泣かしながら宿題をやらせるような真似はしないでください。
いい親子関係を築きながら、子どもに学習習慣を身につけていってもらいたいものですね。
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