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子どもにYoutubeやDVD、テレビを見せるのは本当に悪いことなのか知りたい。
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子どもにYoutubeやDVD、テレビを見せ過ぎるとどんな影響があるのか知りたい。
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どうせなら、うまくYoutubeやDVD、テレビを利用して頭のいい子に育てたい。
テレビやYoutube、DVDって、子育てにおいてはとにかく悪者にされがちですよね。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
スマホが完全に普及したこのICT時代に、今後はAIやVRなどがもっと身近になる時代がやってくるのに、いまだに時代遅れな価値観で子どもからテレビやスマホ、PCやタブレットなどを一方的に奪っても良いのでしょうか?
もし、 スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが子ども時代に親からコンピューターいじりを禁止されていたとしたら、今の時代はまったく違うものになっていたかも知れません。
つまり、今の時代の親に求められていることは、YoutubeやDVD、テレビを禁止することではなく、これらのメディアと上手に付き合っていく方法を子どもに教えてあげることだと思います。
そこで今回の記事では、
①YoutubeやDVD、テレビを見過ぎるとどんな悪影響があるのか?
②子どもの脳によいYoutubeやDVD、テレビとの上手な付き合い方
についてご紹介していきます。
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YoutubeやDVD、テレビは本当に子どもに悪影響なのか?これまでの研究でわかっていること
そもそも、テレビが子育てにおける「悪者」として注目されるようになったのは、1999年のアメリカの小児科学会の提言でした。
また、日本小児科学会は、アメリカ小児学会の提言をもとに2004年に以下の内容の提言を発表ました。
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2歳までのテレビ・ビデオの視聴は控えましょう。
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授乳中・食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう。
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メディアへの接触は1日2時間までにしましょう。
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子ども部屋には、テレビ・ビデオ・パソコンを置かないようにしましょう。
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保護者と子どもでメディアを上手に使うルールを作りましょう。
(※「ビデオ」と記述されているところに時代を感じますね(笑)。)
アメリカと日本の小児科学会は「赤ちゃんの頃からテレビを長時間見せていると、子どもの外遊びの機会や人とかかわる時間が減り、運動不足やコミュニケーション能力の低下などの問題が生じるのではないか?」と危惧して、緊急的に上記の提言を発表しました。
つまり、当時は「まだよく分かんないけど、とりあえず心配だから禁止しとくね!」という、見切り発車での提言だったのです。
では、アメリカ小児科学会の提言発表から20年経った2019年現在、本当にテレビは子どもにとって悪影響だと明らかにされたのでしょうか?
それでは、これまでの研究報告を見ていきましょう!↓
1990年(提言発表前)
2歳~7歳までの幼児を対象に調べたところ、「セサミストリート(教育番組)」の視聴は幼児の語彙を増やすことが報告されました。
2001年
低所得の家庭における2歳~7歳までの幼児では、2~3歳児向けの教育番組を見ている幼児の方が、後に小学校で良い成績をとることが報告されました。
また、大人向けの一般的な番組をよく見ている子どもは、それを見ていない子どもよりも成績が悪くなることが報告されました。
2005年
生後1歳の赤ちゃんでは、テレビを見る時間が長いと、言葉の理解や身振り手振りの種類の数が少なくなることが報告されました。
しかし、外遊びや絵本の読み聞かせの時間を十分にとると、この影響をなくすことができると分かりました。
また、18ヶ月~24ヶ月の乳幼児では、テレビを見る時間と言葉の理解や身振り手振りの発達には関係がありませんが、テレビを見ている時間が長いと、子どもの言語表出が少なくなることが報告されました。
2007年
8~16ヶ月の赤ちゃんでは、赤ちゃん向けのDVDやビデオの視聴は言葉の発達に悪影響を与えるが、17ヶ月以上の赤ちゃんでは影響がないことが報告されました。
また、親が一緒にテレビを視聴しているかどうかは言葉の発達に影響はないことが報告されました。
2008年
テレビは子どもの学習に影響を与えない、または、弱いながらも良い影響と悪い影響の両方を与えることが報告されました。
教育的な内容の番組は子どもの学力に良い影響を与えますが、エンターテイメント色の強い番組は悪い影響を与えることが報告されました。
良い影響を大きくし、悪い影響を少なくするためには、親が視聴させる番組の内容を吟味する必要があると提言されました。
2009年
テレビを見る子どもが勉強をしないのではなく、勉強をしない子どもはテレビを長時間見やすいことが報告されました。
また、4~6ヶ月の赤ちゃんでも、テレビを見るときは現実で物を見るよりも脳を使っている可能性が報告されました。
※上の図は「乳幼児におけるテレビ映像理解の発達に関する研究」からお借りし、それを分かりやすいように調整しています。
2010年
12~18ヶ月の赤ちゃんでは、乳幼児向けのDVDを見せた場合より、DVDを見せずに親とのかかわりを多く持った方が言葉の発達が良くなったことが報告されました。
また別の研究では、テレビ番組のクライマックスシーンなどに入るコマーシャルは、大人以上に子どもの集中力を大きく妨げ、不快な感情を生じさせることが報告されました。
2010年以降、スマホやSNSが普及したことにより、テレビやDVDよりもソーシャルメディア(YoutubeやSNSなど)からの影響に関する研究が主流になってきました。
2012~2015年
Youtubeなどのソーシャルメディアの閲覧・視聴は、さまざまな社会性に影響を与えるという報告と、影響はなかったとする報告がいくつかの研究によってなされました。
また、どんな影響があるのかは、視聴するコンテンツの内容によって決まることが報告されました。
つまり、非社会的な内容のものは子どもの非社会的なふるまいを増やし、社会的な内容のものは子どもの社会的なふるまいを増やすことが分かりました。
また、幼い頃からYotubeを長時間見ていると、その時間分だけ同じ年齢の子どもと遊ぶ機会が少なくなり、その結果、協調性がなく自己中心的な態度が増え、小学校に入学したときに問題が多くなったという報告もされました。
2016年
Youtubeなどのソーシャルメディアは子どもの発達にとって、良い影響と悪い影響の両方を与えるということが分かりました。
良い影響とは、子どもが遊びやゲームの中で、より高度にスピードを調整したり、戦略を練ったりすることができるようになり、右脳の働きを良くしていることでした。
一方、悪い影響とは、子どもの運動する時間や友達と遊ぶ時間が減り、結果として、個人主義的な考え方が増えたことでした。
2019年
週に6~7回、Youtube Kids(子ども向けに制限されたYoutube)で教育的で社会的な内容の動画を見ている幼児は、見ていない幼児よりも社会性が高くなったことが報告されました。
↑これまでの研究報告を見ると、子どもにYoutubeやDVD、テレビなどを見せる際の問題点と対応策が見えてきましたね!
では、以上の研究報告から分かった点を次にまとめます。
YoutubeやDVD、テレビを子どもに見せるときに気を付けること、子どもの脳に良い影響を与える上手なつきあい方
上記の研究報告から分かったことを踏まえて、YoutubuやDVD、テレビを子どもに見せるときに気を付けること、また、上手なつきあい方をまとめてみます。
YoutubeやDVD、テレビを子どもに見せるときに気を付けること
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17ヶ月未満の赤ちゃんには、Youtube、DVD、テレビを見せるのは控えましょう。
⇒ 見せた時間分だけ、言葉を学習する機会が奪われます。 -
親とかかわる時間や運動する時間、同じ年齢の子どもと遊ぶ時間などが減ってしまうほど長時間見せるのはやめましょう。
⇒ 見せた時間分だけ、学習面や社会性の面で子どもに望ましくない影響が出ます。 -
子どもには、大人向けの一般的な娯楽番組や暴力的、非社会的な内容を含む番組などを見せてはいけません。
⇒ 子どもの成績が落ちたり、子どもの非社会的なふるまいが増えます。 -
テレビのつけっぱなしや、Youtubuを自由に見させっぱなしにするのはやめましょう。
⇒ 望ましくない内容の番組を子どもが見てしまう危険性があります。
YoutubeやDVD、テレビを子どもに見せて脳を育てる上手なつきあい方
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2歳以上の子どもには、知育番組や教育的な内容の番組や社会的な内容の番組を見せましょう。
⇒ 子どもの語彙や小学校での成績が良くなります。また、社会性が高まり、子どもが穏やかになったりお友達と仲良くなれるようになります。 -
まったく見せないよりは、子どもが望むなら適度に見せてあげましょう。
⇒ YotubeやDVD、テレビを見ることによって、右脳の働きが活発になります。 -
子どもにYotubeやDVD、テレビを見せる時間は、親とかかわる時間や運動する時間、同じ年齢の子どもと遊ぶ時間、習い事の練習、宿題、勉強、読書など、必要な時間を差し引いて余った分にしましょう。
「今日は見せ過ぎてしまった」と思ったら、次の日は同じ時間分、外遊びや絵本の読み聞かせなど、別のことをして一緒に過ごしましょう。
⇒ 長時間見過ぎたことによって失った分をカバーできます。 -
子どもには番組の途中でコマーシャルが入らないように、DVDや有料のオンデマンド配信(YoutubeやテレビではCMが入ってしまう)を見せましょう。
⇒ 子どもの集中力を高め、集中力と落ち着きがある子になりやすいです。
こうしてまとめると、すごく当たり前なことばかりですね。
YoutubeやDVD、テレビに限らず、本や漫画、ゲーム、スポーツ、勉強ですら何事もそうだと思いますが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ってやつですね。
他の事がおろそかになるほど、やりすぎたらダメってことです。
また、子どもには年齢にふさわしい内容を見せよう!ってことですね。
では、子どもの学習や社会性を高める、教育的で社会的な内容の番組って、どんなものがあるのでしょうか?
YoutubeやDVD、テレビを子どもに見せるなら、こんな番組を見せた方がいい!おすすめの子ども向け番組3つ
それでは、私がおすすめする子ども向けのシリーズ番組を3つほどご紹介していきます。
うちの息子が1歳9ヶ月(21か月)の頃から大好きで、4歳になった今でもよく見ている番組もあります。
うちの息子は1歳代のときから言葉が出てくるのが早かったり、年少クラスのいまでもクラスの他の子より言葉を良く知っているので、他の親御さんに驚かれることがあります。
それがすべてこれらの番組を見ていたおかげだとは思いませんが、でも多少なりと影響はあったのかなと思います。
子どもにおすすめな番組①「ミッキーマウスクラブハウス」シリーズ
数字を数えたり、色や形の名前を教えてくれたりなど、教育的な内容が盛り込まれています。
また、お話の中で出てくる問題(トラブル)を解決するためには、どの選択肢(道具)を選べば良いか?というようなクイズ的要素もあります(←子どもの問題解決力が養われそうです)。
さらに、番組を見ている子どもに対して、画面越しにミッキーが頻繁に話しかけてきてくれます。
この話しかけによって、子どもは画面を見ながら、疑似的なコミュニケーションをとることができるのです。
また、ストーリーも「友達と協力して何か楽しいことをする」のが主なので、非常に平和でやさしい世界観です。
悪役らしい悪役がいないので、汚い言葉や暴力なども出てきません。
おジャマ虫役のピートでも口調がキレイだし、皆が困るようなことをしてもすぐに改心して、ちゃんと皆に謝ったりするので、本当に安心して子どもに見せられます。
ディズニーシアターという有料のオンデマンド配信サービスで全話見られますが、DVDも発売されいます(TUTAYAやGEOにも置いてます)。
特に息子が大好きでおすすめなのはこちらの話です。↓
ミッキーマウス クラブハウス/ミッキーのモンスターミュージカル [DVD]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- メディア: DVD
子どもにおすすめな番組②「新くまのプーさん」シリーズ
ディズニーシアターというオンデマンドサービスで最近配信されるようになった、「くまのプーさん」シリーズです。
元々は2003年~2005年にかけてDVDで発売されていたシリーズで、配信が開始されるまではTUTAYAなどの旧作DVDコーナーにあるものしか見られなかった幻の良作です。
ディズニーシアターではDVDに収録されていない話も見られるので、配信化は本当に嬉しいです!!
(↑なぜか第1話だけプーさんの声がいつもの声優さんと違っていますが…。)
内容としては、教育的というよりは道徳的なのですが、例えば
「友達から借りた大切なものを壊してしまったとき、どうすれば良いか?」
「友達に思わず嘘をついてしまったとき、どうすれば良いか?」
など、子どもの社会性を伸ばすのに良さそうな話が多いです。
「くまのプーさん」には映画もいくつか出ていますが、子どもにぜひ見せたい良作と、見せたくない作品があります。
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くまのプーさん 完全保存版(1977年)
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くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!(1997年)
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くまのプーさん 冬の贈りもの(1999年)
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くまのプーさん みんなのクリスマス(2002年)
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ティガー・ムービー プーさんの贈りもの(2000年)
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くまのプーさん 完全保存版II ピグレット・ムービー(2003年)
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くまのプーさん ザ・ムービー/はじめまして、ランピー!(2005年)
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くまのプーさん(2011年)
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くまのプーさん ルーの楽しい春の日(2004年)
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くまのプーさん ランピーとぶるぶるオバケ(2005年)
上記の違いは、キャラクターの社会性に問題があるかないか、です。
それがストーリーを展開する上で必要な演出だとしても、子どもにはまだ理解できません。
善悪がわかりやすく、皆が仲良しで、登場人物みんなが善人なやさしい世界の方が、幼児が見るには適していると思います。
「くまのプーさん完全保存版」なら子ども用の英語教材としてもおすすめです。
出てくる単語もそれほど難しくなく、話すスピードもゆっくりなので聞き取りやすいです。
DVDなら英語音声で英語字幕ができる(配信ではできない)ので、DVDで子どもに見せるのがおすすめです。
子どもにおすすめな番組③「ザ・ブック・オブ・プー」シリーズ
こちらも ディズニーシアターというオンデマンドサービスで最近、配信されるようになりました。
近年制作されている「プーさん」シリーズはハズレが多かったので、正直、期待していなかったのですが、上の「新くまのプーさん」シリーズの良さを生かしたまま、よりマイルドに(主に見た目が)なって帰ってきました!
内容は、やはり教育的というよりは道徳的なものがメインです。
「新くまのプーさん」シリーズよりもさらに幼児向けという感じで、「新くまのプーさん」シリーズ以上に「ノー暴力」、「ノー汚い言葉」なので安心して子どもに見せられます。
「CGアニメが主流の時代にぬいぐるみの人形劇なんて、子どもは興味を示さないのでは?」と思うかも知れませんが、初めて息子に見せたとき、私がぬいぐるみのプーさんのガニ股に大爆笑したせいかもしれませんが(笑)、息子は興味を持ってこの番組を見始め、その後すっかり気に入ってしまいました。
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まとめ―YoutubeやDVD、テレビは制限や禁止をするのではなく、上手につきあって子どもを頭の良い子に育てよう
では、これまでのお話をまとめます。
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子どもにYoutubeやDVD、テレビを見せるのは本当に悪いことなのか?
⇒ 見せること自体は悪くない。むしろ、適度に見せることは、子どもの学力や社会性を高くし、さらに脳(特に右脳)を活性化させる。 -
子どもにYoutubeやDVD、テレビを見せ過ぎるとどんな影響があるのか知りたい。
⇒ 長時間見せると、その時間分だけ他のことをする機会が失われる。
逆に言うと、親とかかわる時間や絵本を読む時間、外遊びや友達と遊ぶ時間などを十分に確保すれば、余った時間で何時間でも見て良い。
親子で1日のスケジュールを確認し、何時間なら見て良いかを決めると良い。 -
どうせなら、うまくYoutubeやDVD、テレビを利用して頭のいい子に育てたい。
⇒ 子どもの学力や社会性を高める、教育的で社会的な内容の番組を選んで見せると良い。
また、コマーシャルが入って子どもの集中力を邪魔することがないように、YoutubeやテレビよりもDVDや有料のオンデマンド配信の番組が良い。
例えば、ママが風邪を引いて寝込んでしまった日などは、子どもの相手ができず、YoutubeやDVD、テレビなどを見せっぱなしにして罪悪感を感じることが多いと思います。
でも、上記の研究結果で、そこまで罪悪感を感じる必要はないことが分かりましたね。
病気で1日相手をしてあげられなかったのなら、その分、元気になった日に1日中相手をしてあげれば良いのです。
YoutubeやDVD、テレビなどはそれ自体が子どもにとって悪い物ではありません。
薬と同じで、用量・用法を守って適切に利用すれば、むしろ子どもにとって良い効果をもたらしてくれます。
YoutubeやDVD、テレビなどと上手につきあって、頭の良い子を育てていきたいですね!
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参考
脳活動及び生理指標によるTVコマーシャルの挿入タイミングが心的状態に与える影響-子どもと大人の比較検討-
育児とICT : 乳幼児のスマホ依存、育児中のデジタル機器利用、育児ストレス
Impact of Youtube Kids Impressions on Early Childhood Prosocial Behavior